撤退とは言ってない、大幅縮小だよね

カメラメイカーとしては「世界のニコン」として君臨するも、日本国内では他社に市場を取られたり苦戦しているニコンが、ついにフィルムカメラ製品のラインアップ見直しについてという情報を発信しはじめているのは、ご存知の通り。ラジオなどでも話題になっていて、意外と「隠れニコン党」が多いことを思い知らされた。それにしても、朝日新聞か?「事実上撤退」って言うからみんなが大騒ぎするのだ。実際には「大幅縮小」なだけなのに。まぁ、いっか。

そもそも、世間ではフィルムを使う「アナログ画像処理」が行われなくなってきている。印刷業界くらいしかよく知りませんが、以前はデザインしたら製版カメラでフィルムにして、それを印刷の版に焼き付けていたものが、今ではデジタルデザインデータをそのまま印刷版に焼き付けられる。もしくは、印刷枚数によっては無版印刷されたりする。

それ以前に、デザインの世界では活字が失われ、写植(写真植字)が失われた。写植が無くなると同時期にトレスコープを使わなくなった。昭和からやっているデザイン屋さんたちの事務所のはじっこには、捨てるに捨てられないトレスコープが置き去りにされている風景があったりします。

工事現場でも、写真が必要という要件は変わらずあるようですが、フィルムである必要はなくなったようです。その証拠に、工事現場写真を仕事として撮影している現場監督向けカメラは「DIGITAL現場監督」となって進化を続けています。街のDPE屋さんでは、実はこの工事現場写真の売上がバカにならなかったようですが、マメな担当者だと自分でプリントしちゃったりするので、市場はやはり縮小しているのではないかと推測しています。DPEの市場はそんなでも、フィルム販売はもちろん、激減でしょう。工事現場や公共事業には大量の写真が必要なんですから。その大量な写真を撮る為のフィルムは要らなくなっているのですから。

今、フィルムを使ったアナログ画像処理がフツーに執り行われる仕事って何だろう? って考えてみた。真っ先に思いつくのは、レントゲンですけどね。それと、遺跡からの出土品の確認撮影は、フィルムです。フィルムぢゃなきゃいけない、という規則などは無いらしいのですが、いろいろなモンダイを引き起こした人たちによって遺跡発掘の社会的地位は堕落、捏造がデジタルに対して比較的難しくて面倒くさいフィルムが使われています。それと、出版社や印刷会社の一部の部局。これは、どんどんデジタル化されていますが、担当者のせいなのか、未だに「ポジでください」というリクエストは無くなりません。写真館もデジタル化は進んでいますが、デジカメで微妙な風合いを表現するのが難しいことがあり、一進一退小所帯。

もう、あとはよく検討しないと、フィルムを使う場面が思いつきません。

うちは、ポジで撮影、ということを要求されなくなりました。2005年初めくらいまではあったのですけれども、その後、フィルムのカメラは使う場面がありません。でも、処分することなく保有し続ける予定です。フィルムさえちゃんとしたものが揃えられれば、カメラは何だっていいのですから。極端な話。でも、デジカメは10年経つとだいたい完全にゴミですね。1996年製のデジカメは、今は仕事では使えません。1990年代のデジタル系の雑誌の記事を2006年に読むと、開いた口がふさがりません。「こんな画質で『そこそこいける』とか書いて、いいのかよっ!!」デザイン事務所や写真事務所の倉庫の奥に眠っているかもしれません。見かけたら埃を払って、開いてみてください。腰ぬけます。

ニコンはついでに大判カメラ用のレンズの生産も中止することを宣言しましたが、ニコンの大判レンズってあまり見かけたことがありません。どうして流行らなかったのかはわかりませんが、どちらにしてもあまり大きな影響はなさそうです。でも、他レンズメイカーは、どうしていることやら。デジカメで撮るようになって困るのが、大判カメラの特徴である「あおり」が使えないことです。以前は、撮影段階で画像補整をしていたものが、今では撮影後に「補正」するので、必要ない機能とみなされているのかもしれません。撮影者は職人のように画像を「作り上げていた」のに、それは必要なくなってきたようです。

そんな殺伐とした世間に生きているわけですね。フォトピエールとしては。特別な技術や機材が無くても、モノによってはそれなりのデジタル画像処理を施して使えてしまう時代です。......というのは、表向きの言い方です。本当は、「市民はいいものを求めるよりも、早くて安くてそこそこのものを求めている」ということです。以前の広告は、写真がキレイでした。イマドキの広告は、写真はWEBで使っているものをそのまま使ったりしてガビガビです。そんなんで、いいそうです。

ポジフィルムは、趣味の人と、写真表現にこだわっても生きていける一部のプロの人が使うモノになるでしょう。カラーネガフィルムは、日本国内においてはカラー写真Lサイズ30円という常識を植え付けた悪しきモノという歴史は残るでしょうが、淘汰されてしまう可能性が大きいでしょう。でも、黒白ネガフィルムは、その処理の簡便さや単純なゆえの奥深さにより、入門者からプロまで細々と市場が存在することでしょう。そして、300年後には「倉庫を整理していたら出てきた写真データ」なんていうものが発見されても、誰にも見てもらえないのかもしれません。後世に残せるものではないですね。デジタルは生き急ぐツールのようです。

Zeiss(ツァイス)ブランドでZFという、ニコンFマウントのレンズが出るそうですから、ニコンのマニュアルレンズが欲しい人には新たなチャンス、ともいえるかもしれない、今日。現代。

ところで、異年同日付でこんなエントリーもあります (Powered by MTOnThisDay)
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コメント(9)

彩庵 [2006.01.14]

私は趣味の範囲でポジフィルムを使っていくと思います。
F3,F4がメイン機でF801Sがサブってのが変わらないでしょうね。
F3は景色を撮るのに圧倒的に自分にとって合っているものですから、絶対に捨てられません。
F4とF801Sは子供の運動会には最適ですがD2Hも少々気になっておりまして・・・・・
ZFほしいっす^^;

PhotoPierre [2006.01.15]

ZFは見てみないと何とも言えませんが、かなり興味ありますね。今後のラインナップも気になるところ。それにしても801とかをご愛用とは、だいぶ年季が入ってますね。大事に使ってください。水没・破壊には交換機が品薄になるでしょうから。
F3欲しいな。こうなると。うちのマニュアルはFE2のみ。かつてはF3を購入しようという意欲はあったのですが、忘れてた。
D2Hは画質がイマイチなので、D200を選択されることをお奨めします。

彩庵 [2006.01.15]

D200ですね。
情報ありがとうございます。
実際に使っている人がまわりにいないので、レンタルで借りてから考えようと思っていました。
D200を優先でつかってみて決めようと思います。

F801Sは付き合っている頃の嫁と買いに行った記念機状態ですが、画質はなかなかのレベルと感じています。
F4が変えなかった頃の自分の思いでの機械でもあります。
実家には親父に貸しっぱなし(娘達に触られるとまずい)F2-ASがあるのですが、他のマニュアル機(FM、FE2)は弟達がどこかにやっちゃったかなぁと^^;
(まあ弟達にあげたからいいんですけれどね・・・)

F3は値段もこなれてきましたし、中古でも探せば程度の良い物がそれなりにあるのではないでしょうか。
F801Sも複数買い置きしておこうかと思っています。

PhotoPierre [2006.01.15]

F801を使っても、F6を使っても、Fを使っても、同じレンズで同じフィルムに同じ条件で撮れば、見て解るような差は出ないはずです。F6を使えばF401で撮ったときよりも上手に撮れるということはありませんが、FMで撮っても昔のかびたようなAiレンズをやせ我慢して使うよりもカッコ悪いのを我慢して新しいEDレンズを使った方が鮮やかに撮れます。画質は好みにもよりますけど。
F3は買っても使い道が無いというところが、常に躊躇するポイントです。戦争に行く予定もありませんし、宇宙にだって行く予定がありません。ニコノスを買っても潜る予定が無い、というのと似てますね

彩庵 [2006.01.16]

>見て解るような差は出ないはずです
おっしゃる通りで、よく陥りがちな罠だと思っています。
レンズでの差は感じますが(良し悪しは別として)
私の場合F3は持っていましたので、そのまま保持しているだけですね。

>ニコノスを買っても潜る予定が無い
例えがよくわかりますm(__)m

lucifer之助 [2006.01.16]

なるほど、Nikonのサイトまではチェックしてませんでしたが、F6、FM10は生産していくのですね。
ちょっと安心しました。

>デジカメは10年経つとだいたい完全にゴミですね。

僕はカメラについては、素人なんですがつい先日2年使用していた8700が、撮影中にいきなり故障。
それに比べてNikomart FTとRollei 35SE、F3を長年所持していますが、未だに特に目立った故障もなく現役です。
カメラ本体の耐久でもやはり、デジカメよりはフィルムカメラの方がガッチリしてるんでしょうかねぇ・・。

PhotoPierre [2006.01.16]

ニュースを鵜呑みにしたり、ニュースがあったョという話を鵜呑みにするヒトは多い。誰も撤退するとは言っていないし、通信社が「事実上の撤退」と大見出しつけただけです。たぶん。
そもそも、F6に、あと何を求めるか? と考えると、それはもう35mm判カメラの完成形であると言えるでしょう。それと入門機でコシナOEMのFM10があれば、世の中的には充分です。感情的な部分とか、水没時の代替機とか、あまり現実的に目に見えない部分の問題はありますけど。

機械式の機械は、頑丈で堅牢でいいですね。デジタルは構造が繊細すぎるし、開けたらもう閉められなさそう……。そういうことはあっても、フィルムカメラだからとかデジタルカメラだからということは無いと思います。
ただ、デジカメは規格がまだ成長途上なので、機能や性能面で最新機種と在来機種の間で差が出てきます。そういう意味でゴミです。作動しなくなるとかそういうことはそれほど無いと思いますけど。フィルムとレンズを交換するといろいろな画質が楽しめるフィルムカメラ。でもデジカメはセンサーを取り替えられません。

arata0501 [2006.01.19]

ニコンは撤退とは言っていないようです。HP等確認しましたが、撤退という言葉はありません。デジカメの圧倒されているのは確かでしょうが。

PhotoPierre [2006.01.19]

知ってます。
世間はカンタンに報道機関に踊らされているだけです。
ラ社の問題だって、本当はヒュ社の社長が国会で発言することにたいする煙幕だったりしますし。
ただ、現実問題として大幅に規模縮小ですよね。でも、今さらAiニッコール買うか? と質問されれば、絶対にノーです。潜水用ニコノスが無くて不便している人はいっぱいいると思いますが。

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