神を見た犬
先月の話だが、ラヂヲを聞きながら自動車を運転していたところ、普段ならフツーに聞き逃すだろうと思われる書評のコーナーがとても気になってしまった。「神を見た犬」だって? その書評コーナーでは、「星新一とかお好きな方なら読み入るだろう」というようなコトを言っていた。
星新一とは、新井素子にして「中高生の頃には一度はハマる」文学と言わしめる作家。短いストーリーの中に、端が少し溶けたシュールな世界が印象的だ。……そんなイメージを持って、赤信号のうちに、手早くメモった。メモしないと、何でも忘れちゃうのだ(メモしてもメモを見るのを忘れるのは親譲り)。
そんなわけで、久しぶりに参考書ではなく文学書を購入した(何年ぶりだよ)。
そもそもこの光文社古典新訳文庫シリーズって、知らなかった。そりゃそうだ、書店の文学書コーナーに立ち入ることもなかったのだから。ただ、またラヂヲからの不正確な聞きかじりによると、昭和やそれ以前に訳された文学書は、文化交流が未熟だったために、文中の冗談や独特な面白味についてほぼ直訳されていて、ニッポン人には理解しづらい部分が多々あった→だから、絶版になるものが少なくなかった、とのこと。それを、今もう一度翻訳し直してみて、平成のニッポン語で読んでみよう、というものらしい。どうやら。
さて、件の「神を見た犬:ブッツァーティ著:関口英子訳」は、前訳を知らない。読んだこともない。見たことも聞いたことも無かったので、前訳との差異についてはちっともわかりません。ただ、帯によると「初訳短編多数!」って書いてあるので、今までニッポン語で紹介されなかった作品も含まれているということですね。それだけでも充分お値打ち品のような感じがします。
正直に感想を述べると、キリスト教会について知識があると、もっとおもしろさが伝わって来るのではないかと思いました。どうも、教会についてのストーリーが多いので、司祭だか牧師だか隠修士だか、もうわけがわからないのです。身分も、上下関係も(、読み方も)。その部分を敢えて不問とするならば、灰色でひんやりとする静かな世界がどこかにあるのでは、という幻想をおこさせます。
22の短編うち、とくに興味を引いたのは「七階」。下の階ほど病状が重い患者が入院する病院に入院した男の葛藤と混乱を描いた作品。葛藤と混乱が、いつのまにか混乱からくる恐怖へ変わっていくグラデイションが、「びっくする展開」と「やっぱり納得の展開」と、二つ同時の感覚をもたらす。これ、アニメにしたら面白いんぢゃなかろうか。どなたか、漫画化の挑戦をしてみてもらいたいものです。
神を見た犬
- ブッツァーティ Dino Buzzati・著
- 関口英子・訳
- 光文社古典新訳文庫・刊
- ISBN9784334751272
- ¥686+税(=720.30)
Photo Pierre : 2007年6月11日 15:00
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- 2008.06.11 6月11日は傘の日
- 2005.06.11 6月11日は傘の日!!
- 2004.06.11 季節たおやかな文化の日本国でございます。
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