「エル・ブリの秘密」観た

2012年05月09日 公開

エル・ブリの秘密年間8000人をさばくのに200万件も予約があると言われる、スペイン カタルーニャにある前衛的レストラン「エル・ブリ」。あまりに忙しすぎて料理を見失ったということで2009年に2011年7月末から2年間の閉店を宣言し、本当に閉店した。

その、2009年の料理開発等の様子を撮ったドキュメンタリー映像。

【リンク】ゆかしメディア

モノを作るのに妥協を許すべからず。同じ料理を再び提供しないというポリシーなのがすごいけど、それが「前衛的」という方向性と両輪をなしているようだ。前衛的であるために同じ料理には手を出さないし、同じ料理を供さないということは前衛的にならざるを得ない。

映画では、2008年の営業が終了したところから始まり、半年間の開発期間〜2週間の準備期間〜オープンという流れを追っている。

根底のテーマは「意外性」「驚き」であるようで、見た目や味、食感などの意外性に驚くことで満足させたいという強い意志を、全編にわたり感じさせる。そこを追求すると……こうなるのか! という、映像的な驚きをも感じられた。

しかし開発チームは料理長フェラン・アドリアさんを含むわずか何人かで、実際の営業はそのレシピ通りに手早く順序通りに作業する弁当工場のようにも見える。アラカルトを一品ごとに吟味して作る現場ではなく、「今年のコース」に従って半年間毎日同じモノを提供し続ける「エル・ブリ工場」。

それにしても、「良き部下」の存在は絶対に必要なようだ。これが料理長一人でやれるわけがなく、最終的な確認と責任を負ってほかは下々の者たちにまかせる。そのためには開発も調理も絶対的に信頼できる部下が必要なんだなー。その姿を見ると、ライティングなどのセッティングを全部アシスタントがこなし、その時だけ登場してレリーズする大写真家先生の姿が浮かんだ。モノを作る手法はそれぞれだけど、そういうやり方もあるんだなー、と。

それと、たぶんスペイン語なんじゃないかと思うのだけれども、英語にしたって食材の呼び方についての外国語って知らないものが殆どだ。個人的には過去に英語メニューを作っていたので、その時はずいぶんと魚の名前を憶えたものだ。しかし、世界では「松茸」「柿」「柚子」など、明らかにニッポン語として聞き取れる呼び名のモノがたくさんあるようだった。そんなところにも感心した。

群馬では、5月11日までシネマテークたかさきにて上映中。

あと、あれです。映像で観る限り、料理があまりにも前衛的すぎるので、実際に食べるのならば伝統的料理の方が口に合うかもな——と、ついうっかり保守的な考え方をしちゃいました。(貧乏人の僻みではないと思います)

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